低密度リポタンパク質(LDL)は血中を循環し,コレステロールを細胞に送り届ける役割を担っていますが,一方でコレステロールを豊富に含むため悪玉コレステロールとも呼ばれ,血中の量が過剰になると高コレステロール血症や動脈硬化などの原因となります.通常は細胞表面にあるLDL受容体が血中のLDLを捕らえて何度も細胞内に取り込むことで血中LDL量が適切に保たれていますが,この分子メカニズムについてはいまだ未解明な点が多く残されています.実はこのLDLを細胞内に取り込む仕組みは,線虫などのシンプルな動物からほ乳類まで驚くほどよく似ています.

群馬大学 生体調節研究所 細胞構造分野
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低密度リポタンパク質の細胞内取り込みメカニズムの研究
 

線虫C. elegansの卵に多く含まれる卵黄成分(yolk)はLDLと非常によく似た性質をしており,卵母細胞によって細胞外から取り込まれ,発生の際の栄養素として蓄えられます.この際,卵黄成分は卵母細胞膜にあるLDL受容体ホモログ(卵黄受容体)に捕捉され細胞内に取り込まれますが,細胞は卵黄受容体を再び細胞膜へ戻して何度も再利用しています.私たちは,このヒトのLDL取り込みに類似した線虫の卵黄成分の取り込みの分子メカニズムに注目し,LDLを細胞内に取り込む際にはたらく新たな因子の発見および分子メカニズムの解明を目指しています.すでに線虫からヒトまで存在する低密度リポタンパク質の細胞内への取り込みにはたらく新しい遺伝子を多数発見しており,哺乳類におけるこれらの遺伝子の解析も開始しています.
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