C. elegans 研究がもたらした3つのノーベル賞 C. elegansをモデル生物として確立したSydney Brenner博士,全細胞系譜を解読し発生の際にある一群の細胞が消滅する(細胞死)ことを発見したJohn Sulston博士,この細胞死が起こらなくなる変異体解析から分子メカニズムを解明したH. Robert Horvitz博士に対し, 2002年にノーベル生理学・医学賞が授与された. また,1998年にAndrew Z. Fire と Craig C. Melloにより,C. elegansを用いてある特定の遺伝子の2本鎖RNAを細胞内に導入するとその遺伝子機能を抑制できるというRNA干渉(RNAi)法が発見され,2006年に両博士にノーベル生理学・医学賞が授与された.このRNAiはヒトでも起こり,この方法を応用すれば,病原性遺伝子やウイルスなどの外来遺伝子の機能を抑制することが可能となるため,新たなる治療法として期待されている.さらに2008年には”緑色蛍光タンパク質の発見”の功績に対して発見者の下村脩博士らとともに
C. elegans 研究者のMartin Chalfieがノーベル化学賞を受賞している. Martin Chalfieは C. elegans を用いてオワンクラゲの緑色蛍光タンパク質が他生物でも使用できることを示し,緑色蛍光タンパク質の研究応用の道を拓いた.