Caenorhabditis elegans(C. elegans)
動物界線形動物門双線網桿線虫亜網カンセンチュウ目カンセンチュウ科。C. elegansは動物の一種で土壌に生息し細菌類を食べて生活しており、他生物には寄生しない。C.
elegansは体長約1mmで透明な体をもつ。
C. elegans研究の利点としては以下の点が挙げられる
C. elegansの身体は少ない細胞数で構成されている(雌雄同体959 個、雄1031個)
C. elegansの世代時間は約3日であり、1個体あたり約300 個の受精卵を産む
C. elegansは神経、筋肉、腸、生殖系などの臓器を持っている
C. elegansは受精卵から成虫になるまでのすべての細胞分裂の過程(細胞系譜)が判明している
C. elegansの全ゲノム配列 (遺伝子数19099) は決定されている(全遺伝子の36%がヒトにも相同遺伝子が存在)
C. elegansは遺伝学的および逆遺伝学的解析が容易である
C. elegansは液体窒素中で班液滴に凍結保存できる
C. elegansは体が透明なため、生きたまま発生や細胞系譜、GFPを用いたタンパク質の解析が行える
C. elegans研究がもたらした4つのノーベル賞
C. elegansをモデル生物として確立したSydney Brenner博士、全細胞系譜を解読し発生の際にある一群の細胞が消滅する(細胞死)ことを発見したJohn
Sulston博士、この細胞死が起こらなくなる変異体解析から分子メカニズムを解明したH. Robert Horvitz博士に対し、 2002年にノーベル生理学・医学賞が授与された。
また、1998年にAndrew Z. Fire博士 と Craig C. Mello博士により、C. elegansを用いてある特定の遺伝子の2本鎖RNAを細胞内に導入するとその遺伝子機能を抑制できるというRNA干渉 (RNAi) 法が発見され、2006年に両博士にノーベル生理学・医学賞が授与された。このRNAiはヒトでも起こり、この方法を応用すれば、病原性遺伝子やウイルスなどの外来遺伝子の機能を抑制することが可能となるため、新たなる治療法として期待されている。
さらに2008年には”緑色蛍光タンパク質の発見”の功績に対して発見者の下村脩博士らとともに C. elegans 研究者のMartin Chalfie博士がノーベル化学賞を受賞している。Martin Chalfie博士は C. elegansを用いてオワンクラゲの緑色蛍光タンパク質が他生物でも使用できることを示し、緑色蛍光タンパク質の研究応用の道を拓いた。
2024年にはVictor Ambros 博士と Gary Ruvkun 博士がmicroRNAの発見とその生理機能を解明したことを評価されノーベル生理学・医学賞が授与された。このようにC. elegansを用いた研究は生命医学研究の発展に貢献し続けている。
研究内容 TOPへ
〒371-8512
群馬県前橋市昭和町3丁目39-15
TEL 027-220-8843
FAX 027-220-8844